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計画にあたってはこのような前提に立ち、障害者が事前に持っていると思われる駅の最も基本的な位置に関する情報を提供して、安全で確実な歩行ルートを確保することを主眼とする。視覚障害者が空間を二次元的、あるいは三次元的に把握するのは非常に難しいことから、ターミナル駅の空間的な関係性を案内する手法の検討は、今後の専門的な研究成果が必要である。
3)視覚障害者が通常手掛かりとするのはポイント毎の位置情報、そこで右か左かなど、位置情報を積み重ねて行動を形成している。ターミナル駅の基本的な位置情報は、ラチ外では各駅出入口と各鉄道改札口、ラチ内では行先別のりば(ホーム)と改札出口である。また基本動線からの分岐が最低限必要な施設は、きっぷうりばとトイレであると考えられる。
これらの位置情報を視覚障害者が理解できる方法によって提供する。
4)位置情報は位置識別チャイム(一般に誘導チャイムと呼ばれるもの。ここではメッセージ区分に基づきこの用語を用いる)と位置告知放送で構成する。
位置識別チャイムは、3種の音色を設定し、駅出入口とホーム階段、きっぷうりば、トイレのそれぞれのある場所を伝達する。位置告知放送は、その改札口が何線の改札口であるかを放送する。
5)誘導情報は、方向指示放送、点字表示板及び誘導ブロックで伝達する。
6)方向指示放送と点字表示板は、同じ位置で同じ内容を、音と点字の二重系で表現し、併せて晴眼者が読める通常の文字も表示する。方向指示放送・点字表示板の設置位置は、基本動線分岐点とする。この音声案内は利用者一般のニーズと共通しているから、高齢者等の使用も期待できる。
7)点字表示板は、階段上下の位置にも設置して、その延長上の施設方向を通常の文字を併記して表示する。
8)方向指示放送設備は、ビジュアル・サインと集合させて、壁面に設置するか、新規にスタンド型の機器を考案する方法が考えられ、いずれも左右方向を示しやすい向きに、耳の高さに合わせてスピーカーを設置する配慮が必要である。
9)誘導ブロックは、分岐点でその先の施設内容を伝える機能がないから、各駅出入口と各鉄道改札口間の基本動線ルートを示す目的に使用し、基本動線分岐点には先述した方向指示放送設備を設置する。
10)警告ブロックは、この帯の前方に危険があるので前進する際注意を要する旨を表示する規制情報として、階段の上り口・下り口・踊り場とホーム縁辺部に敷設する。この敷設仕様は、性能条件に適したものとする検討が残されている。
11)これらの手法は、実施される場合、コードとして全国に広報して普及する必要がある。
12)移動系の情報内容を主とした、音声・触覚案内システムのフローチャートを図2に示す。

 

 

 

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